FIREの初年度に暴落が来たら、資産は何年早く尽きるのか

取り崩し「暴落タイミング」シミュレーター

平均リターンは、取り崩している人には嘘をつきます

積み立てている最中なら、平均リターンで考えてもそれほど大きくは外れません。 値下がりした年は同じ金額でたくさん買えるので、下げが早い時期に来るのはむしろ有利に働くこともあります。

取り崩しに入ると、これがそっくり逆になります。 生活費を作るために売るので、値下がりした年には同じ金額を作るためによけいに売らなければいけません。 売ってしまった持ち分は、相場が戻っても戻ってきません。 だから同じ平均リターンでも、大きな下げが取り崩しの序盤に来るか終盤に来るかで結果が変わります。 これがシーケンス・オブ・リターンズ・リスク(リターンの順番のリスク)です。

各社の取り崩しシミュレーターの多くは、毎年きっちり同じリターンで回した場合を計算します。 その計算は間違ってはいませんが、順番の効果は最初から入っていません。 このツールは、その入っていない部分だけを取り出して見せます。

4つの世界線の作り方

あなたが入れた「計画年数」「平均リターン」「暴落の深さ」から、次のようにリターンの並びを作ります。

  • 暴落の年のリターンは、入力した下落率そのものです(2年・3年に分けた場合は、 かけ合わせて同じ下落率になるように等分します)。
  • それ以外の年のリターンは、計画年数のあいだの算術平均が、入力した平均リターンとぴったり同じになるように決めます。暴落の分を取り返す必要があるので、平均より少し高い値になります。
  • 初期・中期・後期の3つの世界線は、こうしてできたまったく同じ数字の集合を並べ替えたものです。 集合が同じなので、結果の差の原因は順番しかありません。
  • 平準の世界線だけは、毎年きっちり平均リターンです。値動きの幅がゼロなので、 これと比べた差には「順番の効果」と「そもそも値が動く効果」の両方が混ざります。 順番だけを見たいときは、初期と後期を比べてください。

たとえば計画30年・平均+5%・暴落−35%(1年)なら、暴落の年が−35%、残り29年が+6.38%です。 (−35 + 29×6.38) ÷ 30 = +5.0% なので、どの世界線でも平均は+5.0%です。

取り崩しの計算

  • 取り崩しは年の初めに行い、残った運用資産にその年のリターンをかけます。
  • 取り崩し額は初年度の金額を基準に、毎年インフレ率のぶんだけ増やします。 率で決めた場合も、2年目以降は率ではなく金額をインフレで増やす形です (これが4%ルールのもともとの定義です)。
  • その年の取り崩し額を用意できなくなった年を「尽きた年」とし、 その1つ前までを資産寿命としています。
  • 計画年数の先も、どの世界線も平均リターンが続くものとして、資産が尽きる年まで 最大60年まで伸ばして計算します。60年たっても尽きない場合は 「60年以上」と表示します。
  • 税金と売買手数料は入れていません。実際にはこの分だけ寿命は短くなります。

現金バッファと取り崩しの柔軟化

バケツ戦略と呼ばれるものの中身は、突き詰めると 「下げているあいだは株を売らず、別に置いた現金から生活費を出す」ことです。 このツールでは次のように計算しています。

  • 現金はいまの資産の中から取り分けます。 外から足すと、対策の効果ではなく資産が増えた効果になってしまうためです。
  • 相場(リターンを積み上げた指数)が直近の高値から10%以上下げている年を「下落局面」とし、 その年は現金から取り崩します。判定に使うのは前年までのリターンだけなので、 この先の暴落を先読みしてはいません。
  • 口座の残高ではなく相場の指数で判定しているのは、取り崩し中の残高は相場が順調でも 取り崩しの分だけ減っていくので、暴落が一度も来ていない世界線でも ずっと下落局面だと判定されてしまうからです。
  • 相場が戻ったら、年1年分ずつ現金を積み直します(その分は運用から外れます)。
  • 現金部分の利回りは年0.5%で固定しています。
  • 取り崩しの柔軟化は、下落局面の年だけ取り崩し額を指定した割合だけ減らすものです。 寿命は伸びますが受け取れる額は減るので、結果画面では 「予定に対して何%受け取れたか」も一緒に出しています。

どちらの対策も、お金を増やす道具ではありません。安いときに売る量を減らすだけです。 だから暴落が一度も来なかった世界線では、現金を寝かせたぶんだけ不利になります。 結果画面ではその不利のほうも数字で出しています。

この計算が含んでいないもの

  • 暴落は一度だけです。実際には二度来ることも、下げたあとに戻りの鈍い年が何年も続くこともあります。
  • 暴落以外の年は毎年同じリターンです。実際には毎年ばらつくので、 ここで出る資産寿命は「順番でここまで変わる」という幅の目安であって、当たる数字ではありません。
  • 税金・手数料・為替・医療費や介護費のような臨時の支出は入っていません。
  • 公的年金や給与など、資産以外から入るお金も入っていません。 それらでまかなえる分を引いた「資産から出す額」を入力してください。
  • 結果画面の「初期暴落に耐えられる取り崩し率」は、上に書いた仮定の上での上限です。 安全と保証できる率ではないので、さらに余裕を見て使ってください。
自分の条件で試す
これから起きることの予測ではなく、仮定を置いた計算の整理です。 ここで出しているのは、あなたが入れた資産額・取り崩し額・平均リターンを使って、 「暴落が◯年目に来た場合」という仮定のシナリオを決められた式で計算した結果です。 暴落が実際に来るかどうか、来るとして何年目か、深さがどれくらいかは誰にも分かりません。 3つの世界線は説明のための仮定であって、確率でも予測でもありません。 実際の相場は毎年ばらつくため、ここで出る資産寿命はそのまま当たる数字ではなく、 「順番でここまで変わる」という幅の目安として読んでください。 売買や商品の推奨・投資助言ではなく、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。